恋と律は、その後も時々会うことにした。
それは律がそうしてと頼むからだったが、恋も弟狐の様な彼が居る事に悪い気がする訳ではなかった。
恋と律は、約束をして2人で自転車で海側のペットショップに行くことになった。
日時計の前で待ち合わせをして居る時、あやかしで美しい2人の姿は人目を引く。
通行人にチラチラと振り返り見られながら、恋と律はペットショップへ向かった。
「あそこのペットショップ、小さいけどペットフードが充実してるんです。」
自転車を漕ぎながら律が言った。
「特別可愛がってるペット用に、何の味のペットフードでもあるんですよ。品揃えが豊富で、見応えありますよ。行ったことあります?」
「初めて。」
「面白いですよ。狐の時食べる小袋のおやつ、僕は時々あそこで買うんです。今日は楽しみですね。」
ペットショップにつくと、まだ赤ちゃんの子猫や子犬のショーケースの前に、ペットフードの袋がずらりと並んでいた。
「わあ」
「ね?。沢山あるでしょう?」
魚介類のペットフードに、チキンのペットフードに、ささみのペットフードに、まぐろのペットフード、かつおのペットフード、昆布のペットフード。
アーモンド入り木の実のペットフードを手に取った恋に、律はいわしのキャットフードを取った。
「僕魚好きなんです」
「あ、私も」
「同じですね。きっと狐だからなんでしょうね。僕たち。」
それから、
「同胞が見つかったら、絶対連れてこようと思ってたんですよ。このペットショップ。」
と言って笑った。
「確かペット雑誌にも載ってた。結構有名な店で。ペット側からしたらいい店ですよね。品揃えが超多くて、全然飽きなくて。ペットサイドの1人として、この店絶対推しますよ。」
最後にレジに並んでお会計をする時に、律は、
「今日はペットフードでパーティーしましょう。お近づきの印に、僕の家に招待します。」
と言った。
