しばらく恋たちは進んでいった。
道は上にいくにつれて傾斜がきつくなり、もっともっと暗くなってくるようだった。
「何か聞こえない?」
岩壁の道を歩きながらふいに美風が聞いた。
「えええ、怖いこと言わないでよ。」
「いや、僕にも何か聞こえる。会話みたいだ。」
「おかしいですね。ゲートは宗介たち以外使わないはずなのに。」
「後ろから足音みたいのも聞こえる。誰だろう。」
念の為、宗介が一番後ろに回って杖で辺りを照らすと、物陰に身を隠し遅れたのはあの男女ペアの悪漢だった。
「ちっ」
悪漢は身を翻すとすぐに灰色の玉を出して投げつけてきた。
女の方が恋を狙う。
「そうはいくか!」
宗介が銀色の光で応戦すると、律が叫んだ。
「駄目だよ、宗介!」
「はあ?」
「この塔は脆いんだ。確かに宗介は強いけど、その魔法のじゃゲートの塔を壊しちゃう!」
「じゃあどうすれば……」
「走れ!」
律が叫んだので、恋たちは最上階に向かって斜面を走り出した。
