────あいつ、どこに行ったんだろう。
宗介は恋が心配だった。
動物の姿だと嗅覚があるから道は間違えないかもしれないが、恋だと思うとそれも心許ない。
自分が一緒に居るときなら良いが、森の中は安全とは言えない。
宗介は、森の道をきょろきょろ見ながら早足で歩いた。
ふいに、後ろから走ってくる足音がして、そろそろと木を降りていた恋は細く目を開いた。
下を見ると、宗介が、まっすぐこちらを見上げている。
恋はどっと安心した。
怖い顔をした宗介は一番近くの枝をつかむと、ひょい、と上へあがって来て、子狐の首を摘んだ。
