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シェルターのマンションのリビングで、恋たちは律から事情を聞いていた。
「知っての通り僕は魔法監視員です。」
律がこう切り出した。
「今まで君たちが魔法を適切に使うかどうか、見張る役目をしてました。ずっと見張ってたんです。今のところは適切に使っていると判断していいでしょう。」
「恋を狙う悪い奴らの事は……」
「ああ、それは」
律がにっこり微笑んだ。
「個人的に調べました。タイプA型の魔法を使う悪漢ですね。恋をまじないの贄にしたいようです。」
「まじないの贄って……」
「簡単です。珍しい贄を使って契約すると、タイプB型の魔法が使える様になるんです。タイプB型とは、例えば……ここにあるコーヒーを、黄金に変えたりですね。」
「うええ、そんな事もできるの?」
「僕は知ってた。演習場で聞いたことあったし。そういう魔法もきっとあるだろうって思ってたから。見張ってた事、先に言ってくれないなんて、性格悪いと思うけど」
美風が言った。
「申し訳ないけど仕事なんで。個人的にはどちらかと言えば言いたかったんですけど。」
「それもそうだし、助けに来るなら、もうちょっと早く来いよな。もう少しで恋が攫われる所だったんだぞ。」
「仕事で直前までは手出ししないことになってるんですよ。申し訳ないです。」
ちょっと困った顔で仕事仕事と繰り返して、律が言った。
「ところで、星型の町々を回るのも残すところは王都だけになりましたね。」
律はコーヒーを一口飲んだ。
「感想は?」
「この世界じゃ恋が危ないから早く帰りたい。恋をこれ以上危険な目に合わせるわけにはいかない。」
「僕も。新田さんが狙われる世界なら、魔法が使えたって、居ない方がましだ。生贄なんて危なすぎるし。」
「そうですか。」
律はため息混じりに言った。
「残念。せっかく僕の姉さん狐を見つけたと思ってたのに。恋がなるくらいなら、贄には僕がなってあげますよ。王都からは僕も行きます。こっちに残る事、本当に考え直して欲しいな。」


