一方恋は。
恋は渡された銀色のきらきら光るふわふわしたドレスに着替えて、舞台袖で待っていた。
緊張はしなかったが、舞台で何をすることになるのか、恋にはさっぱり分からなかった。
「出番です。」
黒服のアシスタントさんが言ったので恋は舞台に歩いていった。
バックパネルにはスタイリッシュな映像と音楽。
恋は一番前まで歩いていって、ポーズを取った。
スポットライトが当たって、恋を照らした、丁度その時。
舞台に黒服を着た女が早足で出てくると、恋の腕を掴んだ。
女は手から灰色の光を出すと、恋の顔に近づけた。
それまで舞台となる町を映していたバックパネルの映像が消え、音楽が止んだ。
とっさの事で何が起きたか分からなかった。
「恋!」
「ははは、かかったな!」
宗介が叫ぶと舞台にあがってきたさっきのスカウトマンがマスクを外して言った。
周りに座っていた黒服の観客たちは一斉に正体を現して灰色の玉を宗介たちに投げつけ始めた。
灰色の玉は当たると瘴気で息苦しくなるものだった。
宗介と美風は銀色の光で応戦していたが、その間に恋が攫われた。
最後の観客役に銀色の光を放ち、宗介と美風が舞台へ走ると、舞台はもう蛻の殻だった。
「畜生!」
「どうすれば……」
宗介と美風が唇を噛んだ所で、上からぶわんと風が吹いた。
見上げると律が、魔法の絨毯に乗ってテントに現れた所だった。
「事情は知ってる。乗って!」
宗介と美風は律と魔法の絨毯に乗ると、恋を追いかけた。


