「もう、恋のせいで。仕事が増えた。」
3人は広げられた陶器を前に宗介はあぐらをかいて、美風は片膝を立てて座った。
恋は宗介に小言を言われながら陶器を眺めていた。
透明なガラスの陶器や、青い模様のついた陶器は、いくら眺めても飽きなかった。
お客は滅多に来なかった。
しばらくして、口元をマスクで隠した、黒服の男女が、恋達の任された陶器屋の目の前で立ち止まった。
最初見た時、宗介はあれ、と気がついた。
男も女も、陶器を見るフリをして恋の方を見ている。
まるで隙を伺っているかのように、油断のならない目付き。
女が恋に向かって陶器の一つを指して言った。
「おいくらかしら?」
「これは……」
恋が言おうとした時だった。
女は左手からいきなり灰色の光を出すと、恋の顔に近づけた。
「恋!」
男がポケットから手を出すより先に、宗介は杖を構えていた。
宗介が杖から銀色の光を放つと、男は痛そうに身悶えしながら、女の腕を引っ張った。
女は咳き込んでいる恋を引っ張り上げようとしたが、その時には美風が女に杖を突きつけていた。
「ちっ!」
男女は灰色の玉を放ちながら走り去った。
恋はぽかんとしていた。
「恋!大丈夫か?。怪我はない?」
「びっくりした。今のは何だ?。お客さんかと思ってたから。いきなり襲われるなんて。」
「なんだったんだろ」
「なんだったんだろじゃないだろ。ああ、ああいう奴らの事を言うんだ。怪しいって。本当に危ない。恋が無事で良かった。」
「狐に変身できる人間狙いだとしたら、どこでバレたんだろう。」
美風が呟いた。
「とにかく!危なかった。恋自覚持てよ。お前は狙われてる。位置探査レーダー、さっきの奴らが落としていった。多分恋を探してたんだ。」
「それじゃまずいな。あいつら新田さんに狙いを定めてるはずだよ。どうしたら……」
「あのう……」
3人が話していると、向こうから店主がやってきた。
「こちらのお代は頂けるんでしょうか……」
さっきの騒ぎで壊れた沢山の陶器を見ながら、店主が遠慮がちに聞いた。
