幼なじみは狐の子。〜黒白王子の三角関係が始動する〜




◆◇◆



 

 
 恋は、自分だけ魔法覚醒しなかったのを気にしていた。

 時々出掛けるシェルターの外でモンスターと遭遇しても、恋は宗介と美風に守ってもらうばっかりで、自分ではちっとも戦う事ができなかった。







「暇だから魔法演習に行ってくる。」


 ある日、宗介が言った。

 

「もうモンスターと戦うには余裕だけど、体を動かさないとなまる。動かないと逆に疲れる。暇も考えものだね。」

「僕も行こうかな。」

 
 
 美風が言った。


「上野と一緒になるのは嫌だけど、練習してれば気にならないし。良い運動になるし。僕は新しい魔法ショットを開発中なんだ。」


 宗介が鼻で笑った。


 
「あんなの。念じれば一発だろ。までもない。」

「まあそうなんだけど。正確さが欲しいから。モンスターが現れた時に向けて、守りたい人も居るしね。」


 
 そう言って美風は恋に微笑んだ。


 
「私は……」

「恋は来ることないよ。魔法覚醒者、男の方が多いし。変な虫がついたら困る。僕達位の歳の奴多いんだ。」

「そうそう。新しい知り合いに新田さんを持っていかれたくない。新田さんは家に居て。料理でも作っててよ。」

「大体お前は魔法が使えないんだし。」



 宗介の言った言葉が、サクッと恋の胸に刺さった。


 
「来てもすることないだろ。僕たちの練習と違って。僕もショットでも開発しようかな。じゃ、行ってくる」

「僕たちが居ない間ゆっくりしててね。じゃあね、新田さん。」



 二人は恋を置いて演習場へと行ってしまった。