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恋は、自分だけ魔法覚醒しなかったのを気にしていた。
時々出掛けるシェルターの外でモンスターと遭遇しても、恋は宗介と美風に守ってもらうばっかりで、自分ではちっとも戦う事ができなかった。
「暇だから魔法演習に行ってくる。」
ある日、宗介が言った。
「もうモンスターと戦うには余裕だけど、体を動かさないとなまる。動かないと逆に疲れる。暇も考えものだね。」
「僕も行こうかな。」
美風が言った。
「上野と一緒になるのは嫌だけど、練習してれば気にならないし。良い運動になるし。僕は新しい魔法ショットを開発中なんだ。」
宗介が鼻で笑った。
「あんなの。念じれば一発だろ。までもない。」
「まあそうなんだけど。正確さが欲しいから。モンスターが現れた時に向けて、守りたい人も居るしね。」
そう言って美風は恋に微笑んだ。
「私は……」
「恋は来ることないよ。魔法覚醒者、男の方が多いし。変な虫がついたら困る。僕達位の歳の奴多いんだ。」
「そうそう。新しい知り合いに新田さんを持っていかれたくない。新田さんは家に居て。料理でも作っててよ。」
「大体お前は魔法が使えないんだし。」
宗介の言った言葉が、サクッと恋の胸に刺さった。
「来てもすることないだろ。僕たちの練習と違って。僕もショットでも開発しようかな。じゃ、行ってくる」
「僕たちが居ない間ゆっくりしててね。じゃあね、新田さん。」
二人は恋を置いて演習場へと行ってしまった。
