幼なじみは狐の子。〜黒白王子の三角関係が始動する〜






 王立協会は、駅からほど近い所にあった。
 御城のような形の建物で、屋根に球形の飾りが付いている。
 係の人に通されて、恋たちはそこでも会長の部屋へすぐ案内された。
 会長は人のいい眼鏡の目立つ女の人で、優雅な仕草で高級そうなソファに座った。


 
「帰りたい……と言うことですけれど、そんなに早急にはこちらも手配できません。ですが手順を踏めば必ず、元の世界にあなた方を送り届けることができるでしょう。」

「手順とは?」


 
 宗介が聞いた。


「交換条件です」


 会長が言った。

 
「魔法覚醒者の通った道には、善の魔法の力が流れます。各要所の街に魔力を流していただけたら、その功績から、帰るのを王族と一緒にお手伝いすることにしましょう。」


 それから言った。


「歩くだけで功徳となるのですから、できるだけ沢山の町を歩いて欲しいところですが、お急ぎの様ですから、要所だけに絞ります。後で町のパンフレットをお送りしましょう。」


 賑やかな街並みを恋は観光したいと言ったが、宗介がさっさと帰ると言ったので、3人は汽車で元来た道を戻った。