休憩スペースに入っていくとフードコートがあり、飲み物とお弁当が売られていた。
「会長から貰ったカード、なんにでも使って良いんだって。何でも買える、一番ランクが高いカードなんだって。信じられる?」
「ラッキー。贅沢し放題だね。地下のショッピングモールに買い物行こうぜ。とりあえず僕は弁当を買う。」
「何でも買えるって、慣れないから変な気分だな。僕も飲み物と弁当。ああ、練習してたらお腹空いた。」
宗介と美風は並んで弁当を買った。
「いただきまーす」
宗介と美風は弁当を、恋はさっきコンビニで買ったチョコレートを出して食べ始めた。
「お弁当は向こうの世界とおんなじだね。どこでも違わないのかな。」
「確かにね。卵焼きとトマトも入ってるし。サラダのドレッシングが絶妙。普通の店より余っ程おいしいよ。」
「魚も肉も変わった味しない。食べ物は普通だね。良かった、食べ物の味変わらなくて。異世界だからそういう場合出てくるんじゃないかって思ってたんだ。」
「肉はどこでもうまいしね。このステーキ、高級レストランで食べるみたいな味がするよ。超うまい。恋、お前は食べなくていいの?。」
「私はお腹減ってない。」
そんな事を話していると、入り口から律がやって来た。
「恋!」
「あ、律」
「なんだ、宗介と美風も居るんですね。恋一人かと思ったのに。つまらない。」
律は近くに来て座った。
「練習はどうですか?」
「まあまあ」
「ぼちぼちかな」
「それは良かった。宗介たちが戦えるようなら、恋を危険な目に合わせなくて済みますもんね。僕の姉さん狐がもし怪我でもしたらって心配なんですよ。」
恋が聞いた。
「そういや律、聞きたかったんだけど」
「なんですか?」
「心配なんだ。本当に元の世界に帰りたい場合って、何から始めればいいの?」
「帰る?。元の世界に?。そんな事考えないで、僕と一緒にこの世界を楽しみましょうよ。」
「それは無理。」
宗介がキッパリ言った。
「僕んちは、今頃家族がパニックだ。僕を探してる。できるだけ早く帰らないと。2、3日ならどこかに泊まってるって可能性もあるけど、こうなっちゃおしまいだ。」
「僕も。新田さんと宿題をしに行く、としか言ってきてないから、心配してるだろうな。早く帰ってやらなきゃ。テレビのニュースとかに行方不明で出されてるかもしれないし。親が気の毒だ。」
「ふーん。でも、こっちの世界の1年は、向こうの世界の1秒ですよ。」
律はその気なさそうに言った。
「せっかくだから楽しんだ方が良いと思うけど。魔法覚醒者は重宝されますよ。寄ると触ると役員さんや一般人からちやほやされるし。そんなに帰りたいんですか?」
「やっぱり……」
「……。そうですね。恋がそう言うなら……。まずは、王立協会に行くのを勧めますよ。」
「王立協会?」
「王族と一緒に、異世界人を時々元の世界へ送り返してるところです。まずはそこへ行ってお伺いを立ててからですね。」
宗介が頷いた。
恋は、チョコレートを齧りながら、まだ見ぬ王立協会の想像をした。
