学校の帰り、恋は一人とぼとぼと家へ向かって歩いていた。
ちょっと前なら宗介と賑やかに家路に着いていたが、その宗介は。
でも自分が悪いのだ。
恋には、三角関係をうまく扱う才覚がなかった。
良い女がする巧妙なズルも言い訳も、恋の頭には全然思い浮かばなかった。
こういうタイプは、一途を貫いて、流れに身を任せて大人しくしている他ない。
恋が、ため息をついて最後の角を曲がろうとした時だった。
ポケットから学校に持っていっているケータイが鳴って光った。
メールの差し出し人を見ると宗介となっていた。
To恋
すぐ来い。学校の外ステージ。
恋はポケットにケータイをしまうと、制服のまま、もと来た道を走った。
