美風の御屋敷のバスルーム。
泡の出るバスタブと美しいタイルの壁。
────泣く、ねえ。
洗った体を熱いシャワーで流しながら、美風はひとりごちた。
泣く、と言うと、恋の反応が変わるのに、美風は気づいていた。
実際は泣いたことなんてないし、単なる好意の強調で、そんなに気にされる謂れもないんだが。
自分がさめざめ泣くタイプに見えるのかと思うとちょっと心外だったが、これを使わない手はない、と美風は思っていた。
────優しい新田さんはこれからきっと僕のもの。
美風はシャワーから出ると、ふかふかのボディタオルを取って着替えを始めた。
