幼なじみは狐の子。〜黒白王子の三角関係が始動する〜




「恋!」


 声がして振り向くと宗介が居た。

 怒り半分呆れ半分、といった表情で、宗介も新聞を眺めている。


「あの人達、二人三脚の報道してないよ。」


 恋が言った。



「だね。きっと三角関係が面白いんだ。ネタにされたね。」

「されたねで済むかよ。はああ?。何だよこれ。」



 理央の言葉に宗介が言うと、教室の戸を開けて中から美風が出てきた。

 新聞を見ている3人の近くまで来てから、美風は一面記事に貼られた自分の写真に気づいて眉をひそめた。



「何だよ、これ。」

「こんな風にされるなんて思わなかった。」



 宗介が言うと後ろから声がした。


「西中新聞部の一面記事、楽しんで貰えてるかしら?」


 振り向くと伊鞠がポーズを取って立っていた。
 隣に居た桂香が、カメラを取り出して、壁新聞の前に居る恋にすかさずシャッターを切った。


「……自分の写真を見る三角関係の頂点」


 桂香が呟いた。



「気分はどう?」

「最悪ですよ」



 伊鞠に向かって宗介が怒り笑いで言った。



「ほんっと。三角関係の報道って、あんたら何考えてんですか。馬鹿なんですか。そもそもこういう新聞は学校で禁止すべきだろ。」

「私達はね」



 伊鞠が言葉を切った。



「注目される記事を書きたいのよ。それには美男美女のゴシップが一番。」

「最低」


 
 さっきから記事を目で追っていた美風が言った。



「ほとんど僕と新田さんと上野の事しか書かれてない。これじゃあ僕達、学校中の晒し者じゃないか」

「スターと捉えなさい」



 伊鞠が言った。


「私達西中新聞部は決めた!。今年はこの三角関係を狙うと!。応援して頂戴」


 廊下をいく生徒がポーズ取った伊鞠にぎょっとして身を引いたが、数名の物好きな生徒達は立ち止まって伊鞠に拍手した。


「するかよばかたれ。」

 
 宗介が怒り笑いで言った。


「僕の事はどうでもいいけど、加納先輩も石巻先輩も、新田さんに今後近づかないでくださいよ。先輩方怪しすぎるんで。普通の人じゃない。」

 
 記事を一通り読んだ美風が言った。



「当たり前。胡乱な新聞部の先輩達に、僕の恋をネタにされてたまるか。迷惑だ。」

「僕の恋って言った!。ネタ発見!」



 パアァと顔を輝かせてガッツポーズした伊鞠にイラッとした表情の宗介。

 伊鞠が拝むポーズをして頼み込んだ。



「お願いお願いこの記事一番人気なのよう」

「僕はどうだっていいけど。笑いものになるのはごめんだ。さて。ちょっとこの新聞剥がしますね。」



 美風がさっそく掲示板の画鋲を抜きながら言った。


「……辞めて」

 
 桂香が呟いてから美風を止めると見せかけてまた、美風に向かってシャッターを切った。