果たして二人三脚。
宗介と美風は、リレーの勝利に沸いているクラスから抜けて、別々に二人三脚の列に並んだ。
順番が近づく前に足を結んで、その辺を軽く走る。
「ハア……」
並んで順番を待っている時、美風が盛大にため息をついた。
「うざ。」
宗介が言った。
「こっちのセリフだよ。まったく何が悲しくてお前なんかと。テンション下がる。鬱になる。」
「今日で終わるから良い。練習最悪だった。僕も生きてきた中で最低の思い出だ。お前相手によく頑張ったよ。」
「言っとく。新田さんは渡さない。お前と歩調合わせる気なんかない。二人三脚なんてくそくらえだ。体育祭なんてなければ良かったんだ。」
「恋はとっくの昔から僕の彼女で、恋人で、図々しいんだよ。いつもいつも恋に付きまとって。目障りだ。今日まで僕はよく我慢した。お前に。」
美風は聞こえる様に舌打ちした。
「ああうぜえ。新田さんの前でこけたくないから走るけど、足引っ張んなよ。お前の方が僕より遅いんだから。」
「遅いのはお前の方だろ。足はお前が引っ張るんだ。ああ嫌だ嫌だ。体育祭もううんざり。」
それから2人はむっつりした顔で黙った。
伊鞠と桂香がカメラ席に来て、二人の写真を連続して色んな角度から何枚も撮ったので、順番が来る頃2人の苛立ちはピークに達していた。
白線の後ろに下がって、二人の出番になると、二人は肩を組んだ。
「畜生」
「喋んなうぜえから」
ピストルが鳴ると、果たして二人は砂埃を蹴散らして猛スピードでグラウンドを駆け抜けた。
