体育祭の練習は賑やかに始まった。
ジャージ姿に着替えた恋達1年生は、今日は体育祭の徒競走の練習をしていた。
ピピっと笛が鳴って、生徒達が走り出す。
「次は徒競走の演習です。順番は決められた通り、整列してください。今日は50メートルをついでに計測します。」
恋は、生徒達と一緒に、頭にはちまきを巻いて順番通りに並んだ。
笛が鳴って、まっすぐな白線の上を宗介が走り出す。
足の速い男子の典型的なフォームでスパートをかけた宗介は白線を組の1位でゴールした。
次は美風の番だった。
恋が見ていると、なるほど美風は走るのが得意と言っていただけあって速く、亜麻色の癖っ毛が靡くのはほんのちょっとの間だけだった。
恋の番になると恋は一生懸命普段のフォームで50メートルを走り、走り終えたところで立ち止まって息を整えた。
「集合。」
号令がかかり生徒達がバラバラにグラウンドに座る。
体育の先生はボールペンを手に計測表を見ながら口を開いた。
「さっきは言わなかったんですが、計測ついでに白チームの選抜代表を今日決めました。上から順番です。」
先生はまずリレーの代表の名字を読み上げた。
「男子、松下、城田、樋山、上野、山内、浅井、森永。女子、井口、上原、山井、清竹、林、内田、中川。アンカーを決めるように。」
「選ばれたね」
恋が隣に居た宗介に囁くと、宗介は澄まし顔で
「面倒。」
と一言言った。
「選ぶの今日なら、ちゃんと走らなかったのに。ああ、だる。面倒くさ。わざわざ走る代表なんかやりたくないのに。」
「そんな」
「それから代表の二人三脚のペアです。」
恋が言う前に先生は続けた。
「上位六名。男子、松下、城田ペア。樋山、上野ペア。山内、浅井ペア。」
宗介と美風がぎょっとして顔を上げた。
「はああ?」
「先生、ちょっと、待ってください。」
美風が手を挙げた。
「ペアは変更できますよね?。1チーム目と僕替えてください。お願いします。」
「速い順です。」
先生は言った。
「変更すると足並みが揃わなくなる。変更は不可です。」
「今日の順位でしょう?。先生、今日僕本気で走ってません。本当です。」
美風が粘ったが、先生は是と言わなかった。
「はああ?。僕にあいつと走れって?」
美風がショックを受けた顔で言った。
「虫唾。肩組みたくない。仲間ヅラされたくない。おぞましい。吐き気がする。本気で言ってんのかな。」
「失礼な奴だな。こっちの台詞。そのままそっくりお返しするよ。」
宗介が毒づいた。
「恋を挟んで色々あんだよ。ああ、面倒。決まり。樋山は体育祭来んなよね。」
「はあ?。そっちが。お前の方が来なければいい話だろ。腹立つな。」
「静かに。」
先生の言葉で宗介と美風が口を閉じて静かになる。
「決定事項です。代表者以外も、気を抜かないように。本気で走るように。怠けたら校庭一周。」
恋は面白いような困った様な気持ちで居た。
「以上。」
この体育祭どうなることやら。
