ブーケの行方と、あの日の片思い


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
優花と宏樹の物語は、再会した一日だけでは決して育たなかったご縁が、
静かに、しかし確かに積み重なっていく様子を描きたいと思いながら書き進めました。

かつては遠くから眺めるだけだった片思い。
その想いが、時を経て“寄り添う力”へと形を変え、
相手の弱さに触れ、支えることで、初めて同じ場所に立てる──
そんな恋の成熟を見届けてくださり、本当にありがとうございます。

優花にとっての「ブーケ」は、
華やかに飛んでくるものではなく、
そっと胸に落ちてくるような、静かな幸せの象徴でした。

それは、宏樹が差し出した小さなキーホルダーであり、
二人で分け合ったヘッドフォンの静寂であり、
雨に濡れた路面の光のように、
気づけば心の奥に灯っていた、確かな未来への光です。

派手な告白よりも、
一緒に見た夜景ひとつ、交わした言葉ひとつが、
二人をゆっくり確実に近づけていきました。

恋は、ときに劇的ではなく、
静かに寄り添い合う中で芽吹くものなのだと、
優花と宏樹が教えてくれた気がします。

ここまで読んでくださったあなたにも、
どうかひとつ、あたたかい光が届きますように。

続きの物語、また別の恋の物語でも、
お会いできましたら嬉しいです。

ありがとうございました。