北の山のドラゴンが討伐された。
ドラゴンの影響で乱れた天候が元に戻り、数年ぶりに温かい日差しが国中を照らした日。ドラゴン討伐を成し遂げた騎士団へ授けられる褒賞内容を知った人々に激震が走った。
「はあ? 団長と第七王女が結婚? 独身の王女はほかにもいるだろ? 美女と名高い第二王女とか可憐な第五王女とかさぁ」
「団長と王女の結婚は賛成だけど、さすがに第七王女はないよな」
「第七王女ってあれでしょ。能力の開花なし、かといって器量がいいわけでもないっていう雑草王女」
「そうそう。王宮で下働きしているイトコの話だと、いっつも黒いローブで顔を隠してて、すごーく不気味だって言ってた」
「うっそ。第七王女って実在するの? 東の塔にひきこもって社交界に出てこないっていうから、本当は存在してない架空の王女かと思ってたわ」
人々が陰でささやくのは、王が碧落の騎士団の団長であるセドリック・スカイへの報奨として、第七王女を娶らせるとしたことについてだった。
もともとは左遷先として有名だった碧落の騎士団は、平民出身者やほかの騎士団で問題を起こした者の吹き溜まりだった。セドリックは二年でそれを立て直し、死者を出すことなくドラゴン討伐を成し遂げた英雄だ。
侯爵家の次男だが、此度の結婚によって、伯爵の爵位を賜ることも決定している。
立派な体躯で勇猛果敢な二十六歳の青年は、少年のころに魔獣と戦って負ったケガで左目が不自由だ。しかし、さらりとした銀髪と凛々しい面立ちに黒い眼帯が野性的で魅力的だと、令嬢たちの人気も高い。
だからこそ、そんな英雄の相手がなぜ第七王女なのか。王はセドリックに何か恨みでもあるのかと、うわさが広がっていったのだ。
ドラゴンの影響で乱れた天候が元に戻り、数年ぶりに温かい日差しが国中を照らした日。ドラゴン討伐を成し遂げた騎士団へ授けられる褒賞内容を知った人々に激震が走った。
「はあ? 団長と第七王女が結婚? 独身の王女はほかにもいるだろ? 美女と名高い第二王女とか可憐な第五王女とかさぁ」
「団長と王女の結婚は賛成だけど、さすがに第七王女はないよな」
「第七王女ってあれでしょ。能力の開花なし、かといって器量がいいわけでもないっていう雑草王女」
「そうそう。王宮で下働きしているイトコの話だと、いっつも黒いローブで顔を隠してて、すごーく不気味だって言ってた」
「うっそ。第七王女って実在するの? 東の塔にひきこもって社交界に出てこないっていうから、本当は存在してない架空の王女かと思ってたわ」
人々が陰でささやくのは、王が碧落の騎士団の団長であるセドリック・スカイへの報奨として、第七王女を娶らせるとしたことについてだった。
もともとは左遷先として有名だった碧落の騎士団は、平民出身者やほかの騎士団で問題を起こした者の吹き溜まりだった。セドリックは二年でそれを立て直し、死者を出すことなくドラゴン討伐を成し遂げた英雄だ。
侯爵家の次男だが、此度の結婚によって、伯爵の爵位を賜ることも決定している。
立派な体躯で勇猛果敢な二十六歳の青年は、少年のころに魔獣と戦って負ったケガで左目が不自由だ。しかし、さらりとした銀髪と凛々しい面立ちに黒い眼帯が野性的で魅力的だと、令嬢たちの人気も高い。
だからこそ、そんな英雄の相手がなぜ第七王女なのか。王はセドリックに何か恨みでもあるのかと、うわさが広がっていったのだ。



