それから数日後、私たちは新幹線に乗って兵庫県の「甲子園球場」へと向かった。たまたま開催されていた春の選抜高校野球を観るために。
満員のスタンドから、春なのに熱気を感じる。
「すっげー、マジで甲子園だ」と写真を撮りまくる高瀬くん。
展示されていた青葉高校のユニフォームを見つけ、2人で並んでチェキを撮った。
「そんなに端っこじゃ映んねーだろ」
そう言ってぐい、と私の肩を引き寄せる高瀬くん。同じシャンプーの匂いがして、私の顔は真っ赤になる。
「松崎さんが照れてっから、もう一枚」
カシャッ。
いたずらっぽく笑う彼の笑顔に、私はもう! と彼の肩を叩いた。
*
試合が終わり、整備が行われているグラウンドを見ながら、高瀬くんが強い声で言った。
「松崎さん。俺も必ずここに来て、あの土を踏む。チームメイトと一緒に。そして、優勝する」
強い風が吹き、彼の前髪が揺れる。その姿は、自分よりずっと大人に見えた。
夢に向かうその背中が眩しくて、生まれそうになる恋心に、私はきっちりと蓋をした。
