結局、そのまま資料本を読んでいたら夕方になってしまって、食事に誘われた。
「いいえ、帰ります」
固辞した私に、守谷さんはいつものようにねばってくる。
「どうせ夕食を食べるなら、俺と一緒でもいいだろう?」
そう言われるとそうかもとすぐ私の心はぐらついてしまった。
たたみかけるように彼は魅惑的な提案をしてくる。
「それ貸してやるよ。重いから車で送りがてら夕食を食べるっていうのはどうだ?」
「そんな守谷さんの手を煩わせることは……」
「俺がそうしたいんだからいいじゃないか」
そんなやり取りをしている間に、気がついたら私は資料本を胸に抱いて車に乗っていた。
守谷さんに対してはなぜか意志が通せない私だった。
食後、家まで送ってもらって、半日一緒にいたのに、おやすみの電話もかかってきた。
このまま流されたらいけないと思った私は、改めて彼に伝える。
「守谷さん、付き合えないって言ったばかりです」
『あぁ、そうだな。でも、申し訳ないが、俺はせっかちだけど、あきらめは悪いんだ』
彼はすぐあきらめてしまう私の逆だった。
「でも……」
『悪いが、引き下がってやれない。おやすみ』
尚も言い募ろうとした私だったが、めずらしく守谷さんのほうが話を打ち切った。少し硬い声で。
あまりに私が断るから怒ったのかもしれない。
私は溜め息交じりに返した。
「……おやすみなさい」
あきらめないと言っていたのに、その日以来、守谷さんからの連絡は途切れた。
「いいえ、帰ります」
固辞した私に、守谷さんはいつものようにねばってくる。
「どうせ夕食を食べるなら、俺と一緒でもいいだろう?」
そう言われるとそうかもとすぐ私の心はぐらついてしまった。
たたみかけるように彼は魅惑的な提案をしてくる。
「それ貸してやるよ。重いから車で送りがてら夕食を食べるっていうのはどうだ?」
「そんな守谷さんの手を煩わせることは……」
「俺がそうしたいんだからいいじゃないか」
そんなやり取りをしている間に、気がついたら私は資料本を胸に抱いて車に乗っていた。
守谷さんに対してはなぜか意志が通せない私だった。
食後、家まで送ってもらって、半日一緒にいたのに、おやすみの電話もかかってきた。
このまま流されたらいけないと思った私は、改めて彼に伝える。
「守谷さん、付き合えないって言ったばかりです」
『あぁ、そうだな。でも、申し訳ないが、俺はせっかちだけど、あきらめは悪いんだ』
彼はすぐあきらめてしまう私の逆だった。
「でも……」
『悪いが、引き下がってやれない。おやすみ』
尚も言い募ろうとした私だったが、めずらしく守谷さんのほうが話を打ち切った。少し硬い声で。
あまりに私が断るから怒ったのかもしれない。
私は溜め息交じりに返した。
「……おやすみなさい」
あきらめないと言っていたのに、その日以来、守谷さんからの連絡は途切れた。



