走る、走る、走る……。
脚がもつれる。息が苦しい。
でも、そんなことを言っている場合ではない。
(ぜったいに遅れるわけにはいかない。私の夢がかかってるんだから!)
――憧れの地スペインで建築を学びたい。
その夢のために寝る間も惜しんで勉強して仕事にも励み、やっと掴んだチャンスなのだ。
「ハァハァ……」
階段を駆け上がり、ホームを目指して、私は必死に脚を動かした。
電車はもう来ている。
あれに乗らないと、大事な面接に間に合わない。
(あとちょっと!)
限界に近かったけど、力を振り絞って私は速度を上げた。
それなのに――
「発車します」
アナウンスが流れ、無情にも私の目の前で電車の扉は締まった。
あと一分、いや三十秒でも早かったら乗れたのに。
「終わった……」
脱力した私はへなへなと崩れ落ちるようにしゃがみ込んだ。
ゼイゼイと荒い息を吐きながら。
時間に余裕を持って出た私がこんなことになってしまったのには理由があった。
(やっぱり見なかったふりをしたらよかった? ううん、それはムリだわ……)
自分のとっさの行動に悔いはない。それでも、もう少しうまいやり方があったのではないかと思ってしまって、果てしなく落ち込んだ。
脚がもつれる。息が苦しい。
でも、そんなことを言っている場合ではない。
(ぜったいに遅れるわけにはいかない。私の夢がかかってるんだから!)
――憧れの地スペインで建築を学びたい。
その夢のために寝る間も惜しんで勉強して仕事にも励み、やっと掴んだチャンスなのだ。
「ハァハァ……」
階段を駆け上がり、ホームを目指して、私は必死に脚を動かした。
電車はもう来ている。
あれに乗らないと、大事な面接に間に合わない。
(あとちょっと!)
限界に近かったけど、力を振り絞って私は速度を上げた。
それなのに――
「発車します」
アナウンスが流れ、無情にも私の目の前で電車の扉は締まった。
あと一分、いや三十秒でも早かったら乗れたのに。
「終わった……」
脱力した私はへなへなと崩れ落ちるようにしゃがみ込んだ。
ゼイゼイと荒い息を吐きながら。
時間に余裕を持って出た私がこんなことになってしまったのには理由があった。
(やっぱり見なかったふりをしたらよかった? ううん、それはムリだわ……)
自分のとっさの行動に悔いはない。それでも、もう少しうまいやり方があったのではないかと思ってしまって、果てしなく落ち込んだ。



