単刀直入に言うと、私には帰る場所はない。
 ちょっとかっこいい感じで言うと勘当されたのだ。

 さっき。
 うん、さっきね。ほんとさっき。
 私がクレーンゲームする3時間前くらいかな。

 時刻は午後9時、太鼓のゲーム前で戯れる子供達はもう居なくなっていた。
 外に目をやると真っ暗で先ほど一喜一憂してた心も落ち着いていく。

 はあ、私は何をやっているのだろう。
 もう一度ため息をしヨシコに目をやる。

 ヨシコは、私が5歳の頃、私の中で流行ってたアニメのキャラだ。ヨシコ、マツコ、リュウコの女の子3人が世界の平和を守ると言うありきたりなストーリー、アクションシーンばかり、まあ可愛さ重視の女の子には不人気だった。

 でもあの頃の私にとったら輝いて見えた。
 
 ってその話は置いといて、とりあえずここから出なくちゃ。さっきから警備員さんの視線が痛いのよ。
 長居しちゃってすいません、の意味を込めてペコっとお辞儀し駆け足で店を出た。

 3月の空はひんやりと、綺麗だ。
 ちらほら見える星を眺めながら近くの公園へと向かう。

「神様って居るのかな。」

 手のひらを摩擦で温めながら吐いた言葉は白く、すーと、消えていく。