*
そのうち、沙耶は仕事と学業の両立が難しくなり、大学を辞めた。あんなに好きだった勉強を、捨てた。
「沙耶」
病室の入り口から、沙耶の後ろ姿に声をかける。沙耶のお母さんは寝ている時間が多くなった。
「沙耶?」
沙耶の隣に座る。沙耶が瞬に気がついて、顔をあげる。
「相談してくれたらよかったのに」
沙耶に言う。
「ごめん」
沙耶が俯く。
「大したことは、出来ないかもしれないけど」
学生の分際で、俺にできることは、まだ、少ない。瞬は、俺があと数年早く生まれていたらよかったのに、と思った。
「でも、私まだ諦めてない」
沙耶が言う。
「今は無理だけど、いつか、子どもたちに携わる仕事ができる日は来ると思う。想像する。いつの日か訪れるその日を。夢がある限り、私は生きていける。悲しくないよ」
沙耶は笑っていた。瞬は、心の底から、この人は美しいと思った。目の前が涙で滲む。沙耶には気づかれないように、目元を拭った。
そのうち、沙耶は仕事と学業の両立が難しくなり、大学を辞めた。あんなに好きだった勉強を、捨てた。
「沙耶」
病室の入り口から、沙耶の後ろ姿に声をかける。沙耶のお母さんは寝ている時間が多くなった。
「沙耶?」
沙耶の隣に座る。沙耶が瞬に気がついて、顔をあげる。
「相談してくれたらよかったのに」
沙耶に言う。
「ごめん」
沙耶が俯く。
「大したことは、出来ないかもしれないけど」
学生の分際で、俺にできることは、まだ、少ない。瞬は、俺があと数年早く生まれていたらよかったのに、と思った。
「でも、私まだ諦めてない」
沙耶が言う。
「今は無理だけど、いつか、子どもたちに携わる仕事ができる日は来ると思う。想像する。いつの日か訪れるその日を。夢がある限り、私は生きていける。悲しくないよ」
沙耶は笑っていた。瞬は、心の底から、この人は美しいと思った。目の前が涙で滲む。沙耶には気づかれないように、目元を拭った。



