総長は姫を一途に溺愛する。

波の音だけが静かに響く夜の海。
月明かりが水面に反射して、キラキラと揺れる光に包まれながら、私たちは砂浜に座っていた。
蓮先輩は私の手をぎゅっと握り、静かに見つめている。

「ひまり……」
その声に、胸がぎゅっと締め付けられる。
「……はい、蓮先輩？」

蓮先輩は深く息をつき、ポケットから小さな箱を取り出した。
手の中で揺れるそれを見て、私の心臓は一気に跳ね上がる。

「……ひまり、俺はずっとお前のそばにいたい」
手を差し伸べ、真剣な瞳で私を見つめる。
「誰よりも大事で、誰にも渡したくない……俺の姫だ」

小さな箱を開けると、中には輝く指輪が入っている。
淡い月光に照らされたそれは、まるで海の光を閉じ込めたみたいにきらめいていた。

「……蓮先輩……」
言葉が震える。胸が熱くて、涙が自然に溢れそうになる。

「ひまり……俺と結婚してくれ」
低く甘く、でも真剣そのものの声が、胸の奥まで届く。

言葉を聞いた瞬間、全身が震え、心臓が壊れそうなくらい高鳴る。
「……はい！　お願いします……蓮先輩！」
涙をこらえきれず、でも笑顔で答える。

蓮先輩はそのまま私を抱き上げ、砂浜の上でぎゅっと抱きしめる。
「……ありがとう、ひまり……俺の姫、これからもずっと、俺だけのものだ」
耳元で囁かれる言葉に、涙と幸福で胸がいっぱいになる。

そのまま、月明かりの下で唇を重ねる。
キスは甘く、独占的で、これまでのすべての想いが重なって、心まで溶けてしまいそうだった。

「ひまり……ずっと俺のそばにいてくれ」
「はい……ずっと、蓮先輩のそばにいます」

夜の海は、二人だけの世界になった。
波の音、月の光、そして蓮先輩の温もり。
全てが、私たちの永遠の始まりを祝福しているかのように、静かに輝いていた。

――こうして、私の人生は、蓮先輩と共に歩む未来へと続いていく。
退屈で孤独だった日々はもうない。
これから先も、ずっと、私の心は蓮先輩に溺れ続けるのだ。