放課後の校舎は、昼間の賑わいとは打って変わって、静かで少しひんやりした空気が漂っている。
私は蓮先輩に手を引かれ、人気のない廊下を歩く。
「蓮先輩……誰もいませんね」
「だから面白いだろ。ひまりと二人きりで、俺だけの時間だ」

廊下の隅々まで見渡せる校舎の中、私たちの足音だけが響く。
手を握られているだけで、心臓が早鐘を打つ。
この瞬間、世界が私たちだけのものに思える。

蓮先輩は私の手をぎゅっと握りながら、耳元で囁く。
「ひまり……俺、今日ずっとお前と一緒にいたかった」

その声に胸がぎゅっと熱くなる。
「私も……蓮先輩とずっと一緒にいたい」
自然に口に出すと、蓮先輩は少し笑って、私を抱き寄せた。

「……言ったな、俺の姫」
私の体を自分の体にぴったり重ね、廊下の壁に優しく背中を押す。
「はい……蓮先輩の姫です」
心臓がばくばくする。こんなに近くで見つめられると、息もできなくなりそうだ。

蓮先輩は私の頬に手を添え、唇を近づける。
「……ひまり、俺だけを見ろ」
低く甘い声に、体の奥から熱が込み上げる。
そして唇が触れた瞬間、世界が一瞬で止まったみたいに感じた。

唇を離すと、蓮先輩は少しだけ笑った。
「俺の姫、今日も可愛いな」
耳元でそう囁かれると、顔が熱くなる。
「……蓮先輩……」
思わず名前を呼ぶと、また唇が重なる。

私たちは校舎の隅の空き教室に入り、誰もいないことを確認してから、ゆっくりと向き合う。
「ひまり……ずっと俺のそばにいろ」
蓮先輩の手が私の頬に触れ、髪をそっと撫でる。
その指先の温もりに、心の奥がじんわり熱くなる。

「はい……ずっと、蓮先輩のそばにいます」
自然に体を預けると、蓮先輩は私をぎゅっと抱きしめ、長いキスをしてくれた。
息が混ざるほど近くて、甘くて、優しくて。
その瞬間、世界が二人だけのものに感じられる。

「ひまり、俺だけの姫だ……誰にも渡さねぇ」
囁かれるたび、胸がぎゅっと締め付けられる。
「……はい……蓮先輩」
目を閉じて、安心感と甘さに身を任せる。

放課後の校舎に、私たちだけの甘い時間が流れていく。
誰にも邪魔されず、ただ蓮先輩と手を繋ぎ、唇を重ね、心を重ねる。
「……私、本当に幸せ……」
そっと心の中でつぶやくと、蓮先輩は私の髪を撫でながら、柔らかく笑った。

「ひまり……俺もだ、ずっと幸せだ」

校舎の静けさと二人だけの空気の中、甘く独占的な時間が永遠に続くように感じた。
誰にも邪魔されない、私だけの蓮先輩の腕の中で、私は今日も幸せを噛み締めた。