教室の窓から差し込む光が、なんだかいつもより淡々として見える。
でも、ただの陽の光じゃなくて、心にぽっかりと穴が空いたような虚しさを運んでくる。

蓮先輩がいない学校は、やっぱり違う。
朝のチャイムが鳴っても、教室が騒がしくても、私の心はどこか空回りしているみたいで、笑顔もどこかぎこちない。

「今日の授業、早く終わらないかな……」
小さく呟くと、隣の友達が不思議そうに私を見た。
でも、仕方ない。
蓮先輩がいないだけで、世界の色が少し薄くなったような気がするのだ。

休み時間になると、友達が楽しそうにおしゃべりしている。
笑い声が教室中に広がるけれど、私の耳には、どこか遠くで聞こえるように感じる。
蓮先輩の声、あの低くて甘い声が、今すぐ聞きたい。
隣にいるだけで安心できる、あの温もりが、どれほど私に必要だったか改めてわかる。

ノートに落書きのように名前を書きながら、つい蓮先輩の顔を思い浮かべてしまう。
「……あぁ、また会いたいな……」
小さなため息が漏れる。

机の上に置いたお揃いのキーホルダーを指で撫でる。
触れるたびに、少しだけ心が落ち着くけれど、やっぱり物足りない。
蓮先輩が目の前にいて、手を握ってくれたり、微笑んでくれたりする瞬間の方が、ずっと幸せで、胸が満たされる。

昼休みも放課後も、友達と一緒にいても、心はどこか蓮先輩のいる場所を探してしまう。
「あぁ、こんな日々がずっと続くのかな……」
少しだけ、寂しさがこみ上げてきて、思わず手にしたペンをぎゅっと握った。

でも、こんな気持ちを持っているのは、決して弱いことじゃない。
だって、これだけ誰かを必要としたり、思ったりできることが、私の心がまだ温かく生きている証拠だから。

窓の外を見ながら、私はそっと心の中で言った。
「……蓮先輩、早く会いたい……私、もう、待ちきれない」

胸の奥がじんわり熱くなり、少しだけ笑顔になった。
退屈で、少し寂しい学校生活だけれど、蓮先輩に会えると思えば、今日も頑張れそうな気がする。