総長は姫を一途に溺愛する。

玄関の前に立つと、心臓がドクドク鳴る。
鍵の回る音、ドアの開く音。

「ひまり……」

その声に振り向くと、玄関の向こうに蓮先輩の姿。
黒い制服が夜の街灯にわずかに照らされて、いつも通りの凛々しさと、どこか儚さを帯びた眼差し。
そして、私を見るその瞳には、強い独占欲と優しさが混ざっていた。

「蓮先輩……」
思わず小さく呟く。

彼は迷わず歩み寄ると、体を引き寄せ、低く囁く。

「会いたかった……俺の姫」

胸がぎゅっと熱くなる。
そのまま、強く抱きしめられる。
周囲の音も、夜の静けさも、何もかも遠くに感じる。
ただ、蓮先輩の温もり、匂い、心音だけが、私の世界を満たしていく。

「蓮先輩……私も……会いたかった……!」

涙が自然とこぼれ、顔を胸に押し当てる。
低く甘く、少し独占的な囁きが耳元で響く。

「……誰にも渡さねぇ。俺の姫だ」

胸の奥がきゅっと熱くなる。
言葉以上の確かさで、全身を抱きしめられ、心まで温かくなる。

私はただ、涙を拭いながら、彼の胸の中で小さく頷いた。
――これからも、ずっと、蓮先輩のそばにいたい。
誰にも渡さない、彼だけの姫でいたい――。