放課後、蓮先輩が私の手をそっと握る。
その手の温もりだけで、胸の奥がじんわりと熱くなる。
でも、まだ名前や思い出は完全には戻らない。
「ひまり……今日は、ちょっと特別な場所に連れて行きたい」
低く落ち着いた声。
少し不安そうに見上げると、蓮先輩は優しく微笑み、手を引いて歩き出した。
⸻
着いたのは、二人でよく来た小さな公園。
桜の季節にはもう少し早いけれど、ベンチや小道の景色はどこか懐かしい気がする。
「……ここ……?」
声に出すと、蓮先輩は頷き、私の手をさらに強く握る。
「そうだ……ここで、色々話したんだ。ひまり、覚えてなくてもいい……でも、感じてほしい」
その言葉に胸がぎゅっとなる。
私の視線をそっと奪うように、蓮先輩は目を合わせる。
⸻
ベンチに座ると、蓮先輩は手を差し出して私の手に重ねる。
その温かさに、頭の奥でかすかな光が差したような感覚。
どこかで、同じようなぬくもりを感じたことがある――そんな気がする。
「……ひまり、覚えていなくても構わない。俺が教えるから、少しずつでいい」
耳元でささやかれる声に、思わず頬が赤くなる。
胸の奥が熱くなり、涙がじんわり溢れそうになる。
「……はい……」
ぎゅっと手を握り返すと、蓮先輩は小さく微笑み、髪をそっと撫でる。
「俺の姫は、絶対に守る。誰にも渡さない」
その言葉に、心の奥が震えた。
記憶はまだ戻らないけれど、この人がいる――それだけで、私の心は少しずつ温かさを取り戻していく。
――また、あの日のように笑える日が来る。
蓮先輩と一緒なら、きっと思い出せる。
そして、再び完全に「私の蓮先輩」を思い出す日まで、私はそばにいたいと強く思った。
その手の温もりだけで、胸の奥がじんわりと熱くなる。
でも、まだ名前や思い出は完全には戻らない。
「ひまり……今日は、ちょっと特別な場所に連れて行きたい」
低く落ち着いた声。
少し不安そうに見上げると、蓮先輩は優しく微笑み、手を引いて歩き出した。
⸻
着いたのは、二人でよく来た小さな公園。
桜の季節にはもう少し早いけれど、ベンチや小道の景色はどこか懐かしい気がする。
「……ここ……?」
声に出すと、蓮先輩は頷き、私の手をさらに強く握る。
「そうだ……ここで、色々話したんだ。ひまり、覚えてなくてもいい……でも、感じてほしい」
その言葉に胸がぎゅっとなる。
私の視線をそっと奪うように、蓮先輩は目を合わせる。
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ベンチに座ると、蓮先輩は手を差し出して私の手に重ねる。
その温かさに、頭の奥でかすかな光が差したような感覚。
どこかで、同じようなぬくもりを感じたことがある――そんな気がする。
「……ひまり、覚えていなくても構わない。俺が教えるから、少しずつでいい」
耳元でささやかれる声に、思わず頬が赤くなる。
胸の奥が熱くなり、涙がじんわり溢れそうになる。
「……はい……」
ぎゅっと手を握り返すと、蓮先輩は小さく微笑み、髪をそっと撫でる。
「俺の姫は、絶対に守る。誰にも渡さない」
その言葉に、心の奥が震えた。
記憶はまだ戻らないけれど、この人がいる――それだけで、私の心は少しずつ温かさを取り戻していく。
――また、あの日のように笑える日が来る。
蓮先輩と一緒なら、きっと思い出せる。
そして、再び完全に「私の蓮先輩」を思い出す日まで、私はそばにいたいと強く思った。



