放課後、教室に残っていた私を蓮先輩が迎えに来た。
 手をつなぐと、いつもより強くぎゅっと握られ、腕の温もりがじんわりと伝わる。

「ひまり……今日、みんなにちやほやされてたな」

 耳元で低くささやかれる声に、思わず胸がドキリとする。
 顔を少し赤くして目を合わせると、蓮先輩は少し不機嫌そうに眉をひそめる。

「……蓮先輩、そんな……私はただ挨拶しただけです」

 必死に弁解すると、蓮先輩は私の顔を手で包み込むようにして真剣な目で見つめてきた。

「……誰にも触れさせるな。俺の姫だ、ひまり」

 低く、でも強く響く言葉に、思わず息が止まる。
 そのまま私の腰に手を回し、少し強めに引き寄せる。
 体が密着するたびに、心臓が飛び跳ねる。

「……蓮先輩……」

 小さく呼ぶと、彼は唇を私の耳元に寄せてささやいた。

「……俺だけを見ろ。絶対に離れんな」

 その声に、胸の奥がぎゅっと締め付けられ、同時に安心感で温かくなる。
 頬を赤くしながら、私は自然と体を彼に預けた。

 教室の机や椅子の隙間で、周りに誰もいないことを確認しながら、蓮先輩は私を抱きしめ、唇を軽く重ねる。
 甘く温かいキスに、思わず目を閉じて体を預ける。

「……蓮先輩の姫で、よかった」

 小さく囁く私の言葉に、蓮先輩はにやりと笑い、髪をそっと撫でる。

「……そうだ。ひまりは俺のものだ。絶対に離さない」

 放課後の教室に、私たちだけの世界が広がる。
 密着した体と温もりに包まれながら、私は心の底から幸せを感じるのだった。