イルミネーションが輝く街の夜。
 光が雪に反射して、世界がまるで宝石のようにきらめいている。
 手をつないだまま歩くと、蓮先輩がふと立ち止まった。

「ひまり、寒いだろ」

 低く落ち着いた声に、思わず胸が跳ねる。
 私は小さくうなずき、体を彼に預けた。

「……少し寒いです」

 すると蓮先輩は、私をぎゅっと抱きしめる。
 その腕の力強さと温もりに、体がじんわり熱くなる。

「……ひまり、俺から離れるな」

 耳元でささやかれる言葉に、思わず頬が赤くなる。
 体をさらに彼に寄せると、蓮先輩は小さく笑い、私の髪を撫でる。

「俺の姫は、俺だけのものだ」

 その言葉に、胸が締め付けられるように熱くなる。
 私は小さく息をつき、目を閉じた。

「……蓮先輩……」

 呼ぶ声に答えるように、蓮先輩は顔を近づけ、唇を重ねてきた。
 柔らかく温かいキス。
 雪の冷たさなんて、二人の熱で全て溶けてしまうような感覚。

 唇を離したあとも、蓮先輩は私を抱きしめたまま、そっと頬に口づけをする。

「……ひまり、ずっとそばにいろ。誰にも渡さない」

 その言葉に、胸の奥が熱くなり、涙がこぼれそうになる。
 でも、それは嬉しさの涙。
 思わず体を彼にぎゅっと預け、頬を胸に押し付ける。

「はい……ずっと、蓮先輩のそばにいます」

 雪の舞う夜空の下、イルミネーションに照らされた二人の世界。
 手をつなぎ、体を寄せ合いながら、私は心の底から幸せを感じた。

 ――冬の寒さも、蓮先輩の愛に包まれれば、何も怖くない。
 これからもずっと、蓮先輩の姫として、二人で歩んでいきたい――。