冬の朝。空気が冷たく、吐く息が白くなる。
 今日は蓮先輩と二人きりの冬デート。
 コートを羽織り、マフラーをぐるりと巻いて、心も体も少しドキドキしている。

「ひまり、寒くないか?」

 耳元で低くささやかれる声。
 私は自然と笑顔でうなずき、蓮先輩の腕にそっと寄り添う。

「大丈夫です、蓮先輩と一緒ですから」

 手を握ると、彼の温かさが手のひらから体中に広がる。
 冬の冷たい風なんて、もう怖くない。



 最初に向かったのは、イルミネーションが輝く街並み。
 街灯やツリーの光が反射して、雪がちらちら舞う。
 蓮先輩は私の肩にそっと手を回し、ぴったり体を寄せてくる。

「ひまり……寒いだろ、俺が温めてやる」

 その言葉に胸が熱くなり、思わず顔を赤くする。
 私も自然と体を彼に寄せると、蓮先輩は優しく抱きしめてくれる。

「……俺の姫だ、ひまり」

 耳元でささやかれる言葉に、心臓が跳ねる。
 街の光や雪の白ささえも、二人の世界の背景のように思える。



 歩きながら、カフェで温かいココアを飲む時間もあった。
 蓮先輩は「冷えた手、貸せ」と言って、自分の手の中に私の手を包む。
 その温もりに、胸の奥がじんわりと熱くなる。
 ふと顔を上げると、彼は真剣な目で私を見つめていた。

「ひまり、誰にも渡さない……ずっと俺だけの姫だ」

 その言葉に思わず息が止まり、でも体が自然と彼に引き寄せられる。
 手をぎゅっと握り返すと、蓮先輩は微笑みながら頬を近づけ、そっと唇を重ねてきた。

 柔らかく温かいキス。
 冷たい冬の空気も、二人の熱で温められていくような感覚。
 唇を離しても、手はつながれたまま、彼の腕に体を預ける。

「……蓮先輩、大好きです」

「俺もだ……ひまり、ずっとそばにいろ」

 雪が舞う街の中で、私たちはぎゅっと抱き合い、互いの温もりを感じながら歩き続ける。

 ――冬の寒さも、蓮先輩の愛に包まれれば、まるで春のように暖かい。
 私の心も体も、完全に蓮先輩に溶けてしまったような、幸せな時間だった。