待ちに待った夏休み。
 今日は蓮先輩と二人だけのデートの日。胸がドキドキして、朝から落ち着かない。

「ひまり、準備できたか?」

 学校での制服デートとは違い、私服姿を見てほしい気持ちでいっぱいだった。
 小さくうなずくと、蓮先輩は軽く笑い、手を差し出してくれる。

「じゃあ、行こうか」

 手をつなぐと、自然と心が温かくなる。
 今日はどこに行くんだろう……期待とワクワクが胸いっぱいに広がる。



 最初に向かったのは、海辺の公園。
 砂浜に足を踏み入れると、潮の香りがふわりと漂う。
 蓮先輩がそっと私の手を握り、肩に腕を回す。

「ひまり、海は好きか?」

「はい、大好きです」

 頷くと、蓮先輩は満足そうに微笑み、私の髪を風で揺れるたびに優しく押さえてくれる。
 砂浜を一緒に歩くと、自然と手が離せなくなる。

 そして、遊具で少し遊んだり、かき氷を食べたり。
 蓮先輩が「ひまり、こっち向け」と言って、かき氷を少し口に運んでくれる瞬間に、胸がキュンと締め付けられる。



 夕方になり、海辺のベンチで休憩。
 夕日が水面に反射して、オレンジ色に輝いている。
 蓮先輩は小さく笑い、私の手をそっと握る。

「ひまり……今日、一日楽しかったか?」

「はい……蓮先輩と一緒にいて、とても楽しかったです」

 その答えに、蓮先輩は少しだけ顔を近づけ、耳元でささやく。

「……ひまり、俺のそばにいてくれて、ありがとう」

 胸の奥がじんわり熱くなる。
 自然と私も彼の手を握り返し、体を少し寄せる。

「私も、蓮先輩と一緒にいられて幸せです」

 夕日の光に包まれ、二人だけの世界。
 肩を寄せ合い、手をつなぎながら、私は心の中で誓う。

 ――夏休みも、ずっと蓮先輩と一緒にいたい。
 誰よりも大切な人と、幸せな時間を過ごしたい――。