家に入って、玄関のドアを閉めた瞬間、胸の奥がまだ熱くなるのを感じた。
 今日一日、蓮先輩と手をつなぎ、遊園地で笑い、カフェで甘い時間を過ごしたこと……そして、帰り道での初キス。

 胸の奥がじんわりと熱く、頬がまだ赤い。
 でも、どうしてももう一度声が聞きたくて、そっとスマホを取り出した。


「……もしもし?」

 低くて落ち着いた声。思わず胸が跳ねる。

「蓮先輩……ただいまです」

「……帰ったか」

 静かに言う声に、少し照れながら答える。

「はい……今日は本当に楽しかったです」

 少し間を置いて、蓮先輩が柔らかく笑う。

「……俺もだ。ひまりと一緒にいられて、楽しかった」

 その言葉に、思わず胸がぎゅっとなる。
 自然と顔が赤くなり、声が少し小さくなる。

「……蓮先輩……キス、まだ覚えてますか?」

 静かに言うと、蓮先輩は一瞬沈黙して、低く息をついた。

「……忘れるわけないだろ。俺の姫だ、ひまり」

 その一言で、胸が熱くなる。
 小さく笑って、私は思わず囁く。

「……私も、蓮先輩のこと大好きです」

「……そうか。嬉しい」

 その声を聞きながら、今日の思い出と、これからの二人の時間を胸に抱きしめる。