今日も放課後の教室は、いつもより少し賑やかだった。
 黒薔薇組のメンバーたちが、私と蓮先輩を囲むようにして座っている。

「おー、姫と総長がついに正式に!」

 メンバーの一人が笑いながら手を叩く。
 その明るい声に、思わず私も笑顔になってしまう。

「ひまりちゃん、これからは総長のもとで安心していられるね!」

 別のメンバーが私の肩を軽くたたき、にこやかに言った。
 最初は緊張していたけれど、こうして皆が祝福してくれると、胸が温かくなる。

 蓮先輩は私の横で、いつも通りのクールな表情を保ちながらも、手をそっと握ってくれている。
 その手の温かさに、改めて心が落ち着く。

「……みんな、ありがとう」

 小さくつぶやくと、メンバーたちは笑いながら茶化したり、からかったりするけれど、どこか優しさがある。
 蓮先輩も安心しているみたいで、微笑んでいる。

 私たちは教室で少しの間、冗談を言ったり、軽く笑い合ったりした。
 外の世界の喧騒を忘れられる、ほんのひとときの幸せ。

 そして、ふと窓の外を見ると、夕日が校舎をオレンジ色に染めている。
 蓮先輩の腕の中で、小さく肩を寄せる。

 ――こうして、みんなに祝福されながら、蓮先輩と一緒にいられる日常が、私にとって一番の幸せなんだ。

 黒薔薇組の笑い声が、教室に響く。
 その中で私は、胸の奥に温かい安心と愛しさを感じながら、そっと蓮先輩の手を握り返した。

「これからも、ずっと……一緒にいられるね」

 蓮先輩は小さくうなずき、ぎゅっと手を握り返す。
 ――この幸せが、ずっと続きますように。