校庭の端、夕暮れの柔らかい光に包まれながら、私は蓮先輩の腕の中に立っていた。
 胸の奥がじんわり熱くて、言葉が自然とあふれてくる。

「蓮先輩……私……」

 小さく息を吸い、心の中で決めていたことを口にする。

「……蓮先輩のこと、好きです」

 自分でも驚くくらい、はっきりとした声で言えた。
 蓮先輩の腕がぎゅっと強くなり、私の頬に手を添える。

「……ひまり……俺もだ」

 低く、でも温かい声。
 目を見つめると、蓮先輩の瞳の奥には、昨日までの独占欲だけでなく、純粋な愛情が溢れていた。

「……私、ずっと蓮先輩のそばにいたい」

 思わず胸の奥から言葉が溢れる。
 蓮先輩は少し微笑み、私の手をぎゅっと握る。

「……俺もだ。
 ひまりは、俺の姫だ。誰にも渡さない」

 その言葉を聞いた瞬間、胸がぎゅっと温かくなる。
 安心と幸福が一気に押し寄せ、涙が自然にこぼれた。

「蓮先輩……私も、ずっと蓮先輩のそばにいる」

 二人の距離が縮まり、自然と唇が重なる。
 柔らかく、温かく、互いの気持ちを確かめ合うように触れる瞬間――
 世界の全てが静かになったような気がした。

 夕日が二人を照らし、長く続く影が校庭に落ちる。
 その中で、私は心から確信する。

 ――蓮先輩のそばにいることが、私にとって一番の幸せだと。

 そして、蓮先輩も同じ気持ちを抱いている。
 これから二人で、どんな困難も乗り越えていける――そんな確かな予感があった。