総長は姫を一途に溺愛する。

玄関の扉を閉めると、ようやく息をつけた。
 今日の教室のことが、頭の中でぐるぐる回っている。

 ……來人くん。

 初日で、いきなり告白なんて……。
 正直、驚いたし、戸惑った。
 でも、目を合わせたときの真剣な表情が、頭から離れない。

 そして、蓮先輩。

 誰よりも私を見て、守ろうとしてくれる人。
 今日も、來人の前で、ぎゅっと手を握って――
 胸の奥まで伝わってくる温かさ。

 ――なんで、こんなに心臓が早く打つんだろう。
 どちらも、私に向かってくる想い。
 どちらも、目が離せない。

 でも、私は……どうしたらいいの?

 來人のあの言葉も、蓮先輩の独占宣言も、両方が強くて、胸が痛い。
 頭では理解している。
 蓮先輩は私を守るために全力で、來人は初めて会ったのに本気で好きだと言った。

 でも、心は揺れて……止まらない。

 誰かを選ぶなんて、まだできない。
 今はただ、胸がぎゅっと締めつけられるこの気持ちに、言葉も行動も追いつかない。

 ――ああ、どうしよう。
 明日もまた、二人に会うのかと思うと、胸の奥がちくちく痛む。

 でも……少しだけ、楽しみでもある。
 この二人に、どんな風に見つめられるのか、どんな言葉をかけられるのか……。

 私の家の中は静かで、でも胸の中はまるで嵐のようにざわついている。
 この気持ち、どう整理すればいいんだろう――。