いつも通り学校に行こうとした。
「行ってきます」そう言って家を出た。
空は雲がまばらにある爽やかな青だった。
ふと見ると家の前に人影があった。
玲菜だ。
「おはようそして玲菜なんでいるんだ」
「おはようございますせっかくなら一緒に登校しようと思いまして」
そういった彼女はいたずらっぽく笑った。
「学校のやつらは噂好きなんだがなぁ、」
俺が小声で言う、まだ距離があったから聞こえていなかったみたいだが。
俺が歩みだし彼女の隣に行く。
彼女も歩き出す。
「祐斗君はなんでトランペットを始めたんですか？」
「あぁ、言うと恥ずかしいんだが、」
あれは入学した時のこと。
新入生歓迎会で吹部の演奏があったんだ。正直興味なかった。
だけどな演奏が始まった瞬間会場にいる全員が静かになった。
迫力のある音、だけども繊細で、そしてきっかけの時間は訪れた。
トランペットソロだ。
堂々と胸を張って吹いていた、音楽ってすごい、そう思った。
興味がなかった俺の心をここまで鷲掴みにするんだからな。
それからも凄かった、木管の繊細な音色、低音の重厚感のある刻み。
そして、トランペットのメロディ。
俺はこの時入るって思った
「とまぁ、こんな感じだって長々と話してごめんな！」
「いえいえとても吹奏楽を楽しんでいるようでなによりです」
そう言って笑った彼女の笑顔は眩しかった。
頭によぎったのは彼女が死ぬという事実だった。
そんなの、、とても筆舌に尽くし難い。
「祐斗君どうかいたしましたか？」
「えっ？あ、まぁ、なんでもない」
顔に出てたか。
学校のザワついた空気感が近づいてきた。
「着いたな」
「そうですね」
「あ、今日数学の課題回収の日か、、？」
やばい、家に忘れた気がする。
そう言って俺は頭を抱えた文字通りな。
「それなら、、明日ではないでしょうか？」
「え、まじか？」
「はい」
うわあああああはっず、
俺の顔は確認できないが凄惨なものだろう。
「大丈夫ですよ間違いはあるものです！」
そう言ったが彼女の顔には笑みが浮かんでいた。
「からかってるだろ、」
「からかってないです！」
そう言いながらくすくすと笑う。
「朝から最悪だ、」
「教室行きましょう」
そう言う彼女はまだ笑っている。
「玲菜ぁ！」
「ごめんなさいってば」
この一言で確信したからかわれている。
「み、認めたな！」
「祐斗朝から何やってるんだ」
後ろから声をかけられた。
親友の海音の声だ。
「海音！玲菜がからかってきて！」
「からかってないですって」
「まだ笑ってるじゃないか！」
「まぁ、仲良しならなにより」
そう言って親友は自分の席に行こうとする。
「海音！薄情な！」
「僕は何も知らないぞ」
「ですって祐斗君」
「もういいよ、、俺には言い返せる言葉が見つからない、」
そこからはなんだか面白くなってきて3人でひとしきり笑った。