長旅という程でもないのですが、テオドール様が気を使って下さり、城の案内は簡単に済ませてくださいました。

それはとても丁寧で所作も良く、さすが大国の皇子であるなとも思いました。


しかしこの部屋に入って2人きりになってからのことでした…。



「ここは寝室です。今日からここで一緒に…はぁ…」

「…?テオドール様…?」

「ああすみません、慣れない態度を取ってしまい少し頭痛が」

「あの…どういうことでしょうか?」

「正直に言わせてもらいますけど、僕は貴女との結婚には反対なんですよ。政略結婚なので文句は言えないですけど、僕に愛を求めるのは諦めてください。別に愛人をつくってもらっても構いませんから。…あの人のように」


その時でした。
私がピンと来たのは。

ああ、この人は調教しがいがある。
愛人?クソ喰らえですわ。
私好みに変えて差し上げますわ。

私の中の何かが燃え上がるようでした。



「本性を出して頂いてありがとうございますわ。あいにく私は愛人を作る気などありません。貴方様を私がいないとダメな人間にして差し上げますから待っていてくださいましね」


そう言って私はふふっと笑うとなぜかテオドール様はゾクッとした表情を浮かべていたのでした。