ガタガタガタ────

何もない田舎道行くこの道には似合わない豪華な馬車。
首都を抜けたばかりのこの馬車は隣国ウォルタインへ向かおうとしておりました。

私の名前はエイルリス・クレア・アルドリック。
アルドリック皇室の末姫であり、これから親同士が決めたいわゆる政略結婚をしに行くのです。

政略結婚が嫌な令嬢たちは数多くいらっしゃいますけど、私は別にそれは嫌なことではないのです。
逆にこれからどんなことが起きるか楽しみでもありますから。

それは本来第1皇子カシアン様と結婚する予定だったのに、急に第2皇子と言ってきたり、アルドリックでは毎日つまらない日々を送っておりましたから向こうへ行ったらさぞ楽しい生活が送れるのではないかとわくわくしているところです。

第2皇子テオドール様…
名前しか知らない私の夫になる方…
アルドリックにいる時は寡黙で、悪く言うと地味な人と聞いておりますが、私の性格に合う方だといいのですけれど…。