今まで試験や勉強で負けることなんてほとんどなかった。全国模試や塾で同じテストを受けた人でライバルになりそうな人は全員マークしていた。

しかし、こいつは知らない名前だ。
興味というよりは嫌悪や屈辱感に近い感覚。

そのとき、周りの女子たちの会話が聞こえてきた。

「桜井って、あの子だよね!?」
「桜井さんっていつも大声であいさつしてる元気な子
でしょ??」
「頭もよかったんだ····最強じゃん…」

(……そんな目立つやつなのかよ)

俺は掲示板から背を向けた。

だが、そのまま教室に戻ることはせず、足は自然と廊下の先の教室に向いていた。