秘密な恋愛

​「芽依に払わせるわけねぇだろ。俺からのプレゼントなんだから、芽依は一円も出さなくていい」

「でも···」

「気にするなよ。···芽依が記憶なくす前、テレビ見ながら『ここ行ってみたい』って言ってたし。 連れてってやりたいって思ってたから。」

​(私が···行きたいって言ってた場所···)

​自分が忘れてしまっていた記憶を、
佑陽はちゃんと覚えていてくれた。

​「それに、芽依の両親には、俺がちゃんと挨拶しに行って許可もらうから。···仕事柄、こういう時くらいしかゆっくりデートできねぇし。それくらい、俺に頑張らせて?」


​モデルという仕事をしていて、普段はたまにしか外でゆっくりと、出かけることができない佑陽。

だからこそ、2人きりでゆっくり過ごせる時間を芽依に贈りたかった。

「旅行行くためにさ。今から仕事調整してもらってるし。」

​「佑陽くん···」

​芽依のためにそこまで考えて、一生懸命になってくれた佑陽の優しさが嬉しくて、
胸の奥がぎゅっと熱くなる。

​「···嫌? 」

​覗き込んでくる佑陽くんの綺麗な瞳に、芽依は顔を真っ赤にしながらも、宿泊券をぎゅっと胸に抱きしめて、ぶんぶんと首を横に振った。

​「嫌じゃないよ。 嬉しい、すごく楽しみ!」

​その健気な返事に、佑陽は嬉しそうに口元を緩めると、愛おしさを堪えきれないように芽依の細い肩を引き寄せた。