秘密な恋愛

「はいっ。クリスマスプレゼント!」

と、丁寧にラッピングされた無地の小さな箱を
佑陽に差し出した。

​「プレゼントって···。俺、もう芽依からもらったけど?」
「私の時間なんてプレゼントじゃないよ笑」


​“開けていい?”
と芽依に確認してから
佑陽が箱を開けると、
その中身を見て一瞬で固まった。


「は···っ?!··これ···」

「佑陽くんが狙ってたって、翔多くんから聞いてたの」


​それは、佑陽の好きなブランドが
店舗限定で販売した、
レアもののシルバーピアスだった。

即完売してしまうほど人気で、
販売日に仕事がずらせなかった佑陽は、
手に入らなかったことを翔多にだけ

“まじでショックだわ··”

としばらく愚痴をこぼしていたのだ。


​「わざわざ並んだの? 芽依」
「うん。学校終わりに急いで行って、結構並んだんだけど···ダメかと思ったけどギリギリ買えて良かった!」

えへへ、と嬉しそうに笑う芽依を見て、
佑陽は信じられないといった様子だった。


​翔多から
“仕事柄、ブランドに直接言えば取り置きしてもらえるだろ”

と言われた佑陽。
しかし佑陽は、モデルの仕事をしていても、
自分の立場を利用して特別扱いしてもらうことを嫌っていた。

翔多に
“代わりに買ってきてやる”
と言われても断るくらい、
佑陽なりのプライドがあった。


​その話を翔多から聞いていた芽依は、
自分がプレゼントしていいのか迷っていたが、

“芽依ちゃんからなら絶対に喜ぶ”

と言われて決断したのだった。

​「まじか···」

呆然とする佑陽に、
芽依は心配になってそっと尋ねる。

「···ダメ、だった?」

「めちゃくちゃ嬉しい···。ありがとな、芽依」

佑陽はそう言うと、
愛おしさを堪えきれないように、
芽依をキュ···と力強く抱きしめた。



自分のために動いて用意してくれた、
という事実が
言葉にできないほど嬉しかった。

​「ほんとありがとな。大事にする」

「うん··っ。喜んでくれて良かった」

​抱きしめられたまま、芽依は佑陽の胸に顔を埋めて小さく微笑んだ。

しばらくして、ゆっくりと身体が離れると、
佑陽はさっそく嬉しそうにその場でピアスを耳につけた。
それをみて、また芽依も嬉しそうに笑う。