秘密な恋愛

「なんかさ。食べるとホッとする···」
また一口、お弁当を食べる佑陽。

嬉しそうに食べるその姿に、
キュッと胸が締めつけられる芽依。

(そんなに美味しそうに食べてくれるなら···)

また作ろう。
作ってあげたい。
ふと、そんな気持ちが芽依の中に芽生える。

「迷惑じゃないなら··· 」
「ん?」

芽依は一呼吸してから、

「作ろっか···?お弁当···」
少し恥ずかしそうにそう言う。

ふと視線を落とすと、
緊張のせいか手が少し震えていた。




「···いいの?」
佑陽の声に、芽依は小さく頷く。

「佑陽くんが···大丈夫なら」


(···だめだ)

触れたい。
抱きしめたい。
強く込み上げる衝動。


でも
“初めからやり直す”と決めた。

佑陽は一度、静かに息を吐く。

そして。
震えている芽依の手を、
そっと手に取り

「じゃあ、頼んでいい?」
柔らかく笑いかける。


「ん···」
芽依は小さく頷いた。


その時。
佑陽のスマホが鳴り

(やべぇ···飯田だ)

「···はい」
『なんだよ。不機嫌そうに』

「お前さ···タイミング···」
『あ、芽依ちゃん一緒か?邪魔して悪いな。仕事ちょっと早まってさ。今向かってるから準備しとけ』

「···はいよ」
通話を切り
小さくため息。


「···佑陽くん?」
「悪ぃ、芽依。ちょっと用事できた。先、帰るわ」


(まだ言えねぇよな···)

モデルのこと。
“ハル”のこと。
今はまだ···
誤魔化すように視線を逸らす佑陽。


芽依は少しだけ寂しそうに、
「··· そっか」
と頷く。


佑陽は一瞬迷ってから、
芽依の頭に軽く手を置き

「また明日な」
その手が離れたあとも、
温もりだけが残る。