秘密な恋愛

その日の夜。
今日の文化祭のことを、
何度も思い出していた芽依。


(楽しかったな··)
久しぶりの学校だったこともあるが、
なにより佑陽と一緒に回った時間が楽しかった。


楽しかった。
でも、それだけじゃない。
確かに、ドキドキもしていた。

助けてくれたとき、
腰に回された手の感触。

近すぎた距離。

クレープを食べた時の言葉。

そして、
ケーキを食べたあとの会話。

(なんだったのかな···あの時のこと)

“なら、やろっか?同じこと”

“なんだろうな?”
あの時の、少し意地悪な笑み。

でもその奥にあった、
どこか切なそうな表情。


思い出すたび、
胸の奥がキュッと締めつけられる。

(なんで、こんなに気になるの··)
布団に入っても、
なかなか眠れない。

目を閉じると浮かぶのは、
低くて甘い声。
近づいてきた距離。
触れそうで、触れなかったあの瞬間。
ドクン、と心臓が強く鳴る。

「···佑陽くん」
自分でも驚くくらい、
自然に名前がこぼれた。