秘密な恋愛

芽依からの言葉が、
胸の奥にじんわり染みていく。

“重いとか、感じたことない”

その一言に、佑陽は息を詰まらせた。
嬉しいのに、胸が苦しい。


抱きしめた腕に、少しだけ力がこもる。
でもすぐに気づいて、そっと緩めた。

「なぁ」

佑陽は芽依の肩に顔を埋めて、

「俺さ。芽依を失うのが、怖かった」

芽依の肩が、ぴくっと揺れる。

「記憶なくても。俺のこと、好きじゃなくなってても」

「それでも···傍にいたかった」

小さく息を吐いて

「でも、“彼女だから”って言葉で···芽依を縛るのは違うって。やっと分かった」


「だからさ」
佑陽は顔を上げ、芽依をまっすぐ見つめる。

「彼女とか、彼氏とか。一回、やめよ?」

佑陽の言葉に、芽依の鼓動がドクンと鳴る。

「えっ? それって、私··振られ···」

「あっ、違う!」
慌てて首を振る。

「芽依のこと振るとかじゃなくて!
芽依と、初めからやり直したい」



「はじめ···から?」

「うん」
少し照れたように視線を逸らして。

「好きとかさ。そういうの、今は考えなくていい。芽依は、ただ少しずつ俺のこと知ってくれればいい」


「佑陽くん··」

「それでまた」
佑陽は芽依を見る。



「俺から、芽依に告白する」



“また告白する”
その言葉が、
今の芽依の胸にやさしく落ちた。


でも。
「でも、それじゃ···佑陽くん辛くないの··?」

「芽依が苦しむほうが無理」
そう言って、佑陽は小さく笑う。


「俺が苦しいのは」
そっと、また芽依の耳元に触れて。

「芽依に触れるの、我慢するくらいだし」
と冗談まじりに呟く。