秘密な恋愛

昨日、
花束だけ置いて、顔も出さずに帰った自分。

病室の前で立ち尽くして、
結局ドアを開けなかった。

(···何やってんだよ、俺)


守りたいって思ったはずなのに。

昨日の行動が、もしかしたら芽依を
逆に傷つけたかもしれない。

そう思うと、ぎゅっと胸が痛くなる。

「また、好きになってもらいたいんだろ?」



「···なぁ、翔多」
「ん?」

佑陽は、何かを決意した顔で言った。

「俺。芽依と、はじめからやり直す」

「佑陽···」

「拓海··。あいつが言ってた“彼女として”ってやつ」
佑陽は一瞬だけ目を伏せる。

「間違いじゃねぇんだよ。また好きになってほしいって言ったけど···やっぱ、どっか怖くてさ」


喉の奥が詰まって、声が少し掠れた。
「俺、自分が安心したくて。無意識に、芽依に押し付けてたと思う」


佑陽の気持ちを聞いた翔多は、
ふっと笑い

「ま、芽依ちゃんにめちゃくちゃ触れたくなると思うけど」
わざと軽い口調で、続ける。
「頑張って耐えろよ〜?」

佑陽の張りつめた空気を、解すみたいに。
翔多はわざと茶化してみせた。

その瞬間。
佑陽は
「···うるせぇ」
吐き捨てるみたいに言いながら、
ほんの少しだけ、笑ってしまった。