秘密な恋愛

芽依に名前を呼ばれ、
抱きしめる力が、少しだけ強くなる。

(ダメだ。俺、また···)

芽依の前では泣かないと決めていたのに。
視界が、滲む。

佑陽はぐっと堪え、
気持ちを整えるように深く息を吐いた。


「いいよ、芽依」
そっと髪を撫でながら、佑陽は呟く。

「無理に思い出そうとするな」

「でも、私···」
芽依は震える声で、続ける。

「佑陽くんの···彼女って···」

佑陽は一瞬だけ、言葉に詰まって。
それから、はっきり頷いた。

「うん。芽依は俺の···。俺の大切な、大好きな彼女」


(それなのに、私は···っ)
芽依の身体が、かすかに震える。


「なにもわからないの···」
「ごめんなさい」
申し訳なさそうに、芽依は言った。


「謝んな」
佑陽は、短くそう言って、芽依を抱きしめ直す。


しばらく、芽依は佑陽の胸の中で泣き続け


「佑陽くん···」

「ん?」

芽依は、泣きながら言った。

「私、佑陽くんの声は知ってるの」