秘密な恋愛

「···こんにちは」
少しだけ明るい声。

芽依のママと医師がこちらに気づき、振り返る。

「あら、佑陽くん」
芽依のママは、
どこか申し訳なさそうに微笑んだ。

「今日はいつもより早いね」
と 医師が言う。

「はい。用事早く終わったんで」
佑陽はそう答えて、
いつも通り芽依のベッドへ歩み寄った。


(聞いてたなんて、言えねぇよな···)

胸の奥はまだ、ぎゅっと掴まれたままなのに。

「今日さ」
芽依の額に手を伸ばし、優しく声をかける。


「学校の近くに新しいカフェできたんだって。起きたら一緒に行こうな」

無理やりにでも
芽依のママの前で、明るく見せる佑陽。


芽依のママが、少し驚いたように佑陽を見る。
「···佑陽くん、無理してない?」

その言葉に、佑陽は即座に首を振った。

「してないです」

即答だった。

「芽依さん、絶対起きますから」
笑って言い切る。 自分に言い聞かせるみたいに。


「芽依さん、強いんで。俺が知ってます」

芽依のママは、何も言わずに小さく頷いた。
それ以上、何も聞かなかった。






「それじゃあ、私はそろそろ帰るけど。佑陽くん、芽依のことお願いね」
と、優しく笑いかける。

「はい」