秘密な恋愛

「一昨日のこと··覚えてないんだろ?」

「…」
芽依の指先が、ぴくりと動く。

「うん…一緒にいたのは覚えてる。でも、会話とかは、よく…」

芽依の言葉に、拓海は少しだけ目を細めた。

「そっか」

それだけ呟いた声は、 どこか
言い切れない感情を含んでいた。

「…いやさ」

拓海は少しだけ視線を逸らし、
気まずそうに続ける。

「佑陽…だっけ。彼氏。喧嘩とかしてねぇかなって」


「心配、してくれてたの?」
芽依が聞くと、
拓海は困ったように笑った。

「なんか…あと味悪ぃじゃん。俺が送ったせいで、お前が揉めてたらさ」

その言葉に、芽依の胸が少しだけざわつく。

(優しさ?それとも…ただの罪悪感?)


「ありがとう、大丈夫だよ」
芽依は小さく、 笑いかける。

「···じゃあ。それだけ気になったから」
そういい、帰ろうとするが

「芽依、あのさ」

「··?」

少し間が空き

(今さら前のこと謝ってもな···)

「やっぱなんでもない」
拓海は何かを言いたそうだったが、
言うのを辞めて
そのまま帰ってしまった。