秘密な恋愛

「…彼氏?」

「うんっ。待ってろっだって」

その言葉に拓海は小さく息を吐いた。

(マジかよ…)

帰りたくても、芽依を置いていけない。
それが余計に胸を締めつける。


しばらく沈黙が流れた。

「…芽依さ」
拓海がぽつりと呟く。

「俺と今いて…なんとも思わないの?」

芽依は一瞬だけ考え込んで、
ふにゃっと笑った。

「私ね〜…あのとき、たくさん泣いたんだよ」

拓海の指がぴくっと動く。

「…私が悪いのかなぁって…」
言葉は途切れ途切れで、ぼんやりしている。

「…芽依?」

答えない。
横を見ると、
芽依はすうすうと眠ってしまっていた。
そのまま拓海の肩へ、こてんと寄りかかる。

「···芽依が悪いんじゃねぇよ」
絞り出すような声。

(あの時の俺は…)