秘密な恋愛

「ちょ、ちょっと芽依…っ」
由奈が芽依の耳元に顔を寄せ、焦った声で囁く。

「なんで拓海くん来てるの?!」

「うん…」

一ノ瀬 拓海(イチノセ タクミ)。

中学の頃、芽依の“初めての彼氏”だった人。
そして
芽依の中に、今も残るトラウマの原因。


「ちょうど一緒にいてさ、ノリで連れてきた!」

そう笑う男子に、周りも
「うわ、懐かし!」
と盛り上がる。

「拓海、久しぶりだな。なんかまたカッコよくなってるし」

中学の頃から“かっこいい”と有名だった拓海は、
高校生になってさらに大人びていた。


芽依がそっと視線を向けると
ふと、目が合う。
拓海は芽依を見た瞬間、
ほんの一瞬だけ息を止めた。


「久しぶり」
柔らかい笑みを浮かべる拓海。

「うん…久しぶり…だね」
ぎこちなく返す芽依。

「芽依、大丈夫?」
由奈がこそっと耳打ちする。

“うん”
芽依は無理に笑って頷いた。