今宵、シンデレラのベールの秘密。

    *――――*




「……苦しかったな」


そう呟いて抱きしめる声は、どこか切なくて。


暖かい。


このまま。ずっとこのままでいられたら、いいのに。


この腕の中にずっと。いられたらいいのに。


ずっと、この香りに包まれていられたらいいのに。


婚約相手が……黒崎先輩だったら……――いいのに。


っえ……今…私なんて思った……?


なに、考えてるんだろ……そんなの…許されないし、かなわないのに…。


なんで…黒崎先輩がいいの……?


なんで……だろう…。


その問いはまだわからないまま。


「…よく頑張った」


っ…ふ…。


その言葉に涙がまた溢れ出して。


ああ、私はその言葉が欲しかったんだって、気づいた。


誰かに……他でもない、目の前にいる人にそういって欲しかったんだって、認めてもらいたかったんだって。


その理由も、まだわからないまま。